常勤講師。やることは教諭と全く同じ。クラス担任や、部活動顧問、分掌業務や、人事評価の自己申告シート提出など授業以外の校務や雑務も、当然ある。
でも常勤講師の立場は、教諭の立場と全然違う。

そう感じたことは、ありませんか?
本日はそんな講師の先生にスポットを当てて、講師を5年続けてきた私の経験を元に、講師を続けるメリット・デメリットについて深く掘り下げていこうと思います。
動画でわかりやすくまとめています。要点を知りたい方はこちらのYouTubeをご覧ください。
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目次
常勤講師のメリット
常勤講師のメリットは、私の経験上次の2つです。
すなわち、常勤講師を続ける理由。
採用試験に合格していなくても、教師として働けること
常勤講師をしている最大のメリットは、コレに尽きるんじゃないでしょうか?
教員採用試験に合格していなくても、教師として働けること。
教員免許さえもっていれば、教壇に立てる常勤講師。
担任を持つ人もいるし、部活の顧問も持つことだってできる。
とはいえ、立場は「講師」。保護者のなかには、教諭でなく講師だというだけで、色眼鏡で見る人もいるかもしれません。
しかし。生徒からすれば、教壇にたつあなたが教師であることに違いはありません。
教諭だろうと講師だろうと同じ。
あなたに教師としての魅力があれば、生徒は慕ってきます。
この「採用試験にパスしていなくても、子ども・生徒の成長に関わるコトができる」という事実。
これは他の仕事では経験できない、かけがえのないものです。
試験を受けていなくても教員免許さえ持っていれば、子どもの成長に関わる仕事が出来る。
これが、常勤講師を続ける上で最大のメリットだと思います。
余談ですが、教員免許も更新制になったので、うっかり失効も忘れずにしたいものですね。
教員採用試験で有利になることもある
常勤講師を続けるメリットその2は、教員採用試験で有利になることもあるってこと。
ただし、必ずしも恩恵を受けるわけではないので注意が必要です。
講師をしていて採用試験にメリットがあるかどうかは、自治体によります。
そして採用試験で有利にはたらくといっても、一般教養や教職教養試験の免除程度なので、あまり過信しないほうが良いでしょう。
講師経験の有無で、専門科目や面接時に加点しているという自治体は存在しません。
よって、(特に)専門知識を問うペーパーテストなどで十分な点数が取れなければ、採用試験には不合格となります。
さらに自治体が違えば(都道府県・市区町村異なるような場合)試験免除の恩恵は、受けられません。
ちなみに年数にも条件があり、講師経験(勤続)3年以上というのが一般的です。
ちなみに、講師の経験が優遇されていないと不満に感じているのは、日本教職員組合が実施しているアンケートから垣間見れます。
アンケート項目のうち「改善して欲しいこと」の第1位になっているのが
経験を考慮した採用(23.9%)
となっていますから、みなさんもっと講師を評価して欲しいと感じているんでしょう。
いずれにしても、いたずらに常勤講師の年数を重ねたからといって採用試験に受かりやすくなるってことは絶対にありません。
しかし、採用試験の一部試験を免除にできるというのはメリットなので、常勤講師を続けるメリットとして挙げておきましょう。
常勤講師のデメリット
では反対に、常勤講師を続けるデメリットです。
大事な20代後半から30代前半の時期に、いいように扱われているだけ?
常勤講師には空白期間が存在します。
だいたい3月31日が多いですが、自治体によっては4月1日としているところもあるようです。
本来その日は、業務をしたらダメな日です。
しかしさっき出て来たアンケート結果によれば、およそ「3割以上」の先生が、本来働いては「ダメな日」に何かしらの業務をしています。
理由は、管理職等にお願いされるからです。
そもそも常勤講師に空白の1日を作るのは、上の勝手な都合に過ぎません。
さらに、常勤講師は
- 欠員が急遽でたから、補充のために
- 教諭として採用できるだけの財源が、その自治体に無いから
お声がけされます。
気づきますか?
常勤講師っていうのは、便利屋扱いされることが多いのです。
特に、20代~30代の常勤講師の先生には、注意を呼びかけたいですね。
悪気があってもなくても、教育の現場は若いからという理由だけで、仕事が舞い込んできます。
あなたの「私がやらなきゃ。」という強い責任感も、裏目にでます。
自治体や制度への問題提起・改善策を見つけてもらうことも大事ですが、まずは自分の人生をしっかり見つめ直しましょう。
20代後半から30代前半というと、一般的に転職適齢期と言われています。
転職はまさに、自分の人生と仕事を振り返るタイミングですよね。
自分の人生や仕事を振り返り、その先を決めていく大事な時期にあなたの人生をさほど気にしていない教育委員会の人たちによる

という声かけに、ただ流されているだけかもしれません。
20代~30代は大事な時期です。
流されてもいいと考える人は、いないでしょう。
常勤講師をなんとなく続けていくということは、あなたの善意に甘えて、採用している自治体が「いいように使っている」だけとなりかねません。
あなたの大切な時間・大切な時期を、いいように使われてしまう可能性がある。
これが常勤講師を続けるデメリットだと感じます。
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採用試験対策にかけられる時間が、減ってしまう
教員採用試験のための勉強が確保しにくい。
これも常勤講師を続けるデメリットになります。
これは特に、20代前半や30代中盤といった
- 始めたばかりの人(1~2年)
- または講師歴が長い人(6年以上)
このような人たちが常勤講師を続けている場合に陥る問題です。
今あなたが進学校で授業を教えているなら、専門の勉強もしやすい(知識の低下が免れる)かもしれません。
しかし困難校や、部活動指導に力を入れている学校などでは、採用試験対策に費やせる時間がほとんど確保できません。
そんな付け焼き刃みたいな勉強でも、受かる人は受かるでしょう。
例えばこんな常勤講師の先生たちですね。
- 教育委員会に、ポジティブな情報が伝わっている先生
- 受けたその年、他の受験生の出来が良くなかった先生
所詮、相対的な結果で決められるのが採用試験なので、受かる人はそんなんでも受かる。
でもこれって、ある意味運ですよね? その年が当たりかハズレかなんて。
自分の人生をかけて挑戦する採用試験なのですから、きちっと時間をかけて挑むことは当然です。
しかし教諭と同じ仕事量をこなす常勤講師に、その時間を捻出するのは相当工夫しないと難しいです。
給与・福利厚生の面からみれば、非常勤講師より常勤講師の方がいいでしょうが
これは、大きなデメリットだと感じています。
民間の採用状況は、空前の売り手市場
2020年から顕著ですが、(特に新卒の)採用は完全な売り手市場。
コロナの影響で若干変わりましたが少子高齢化が続くことは必至なので、多くの企業で慢性的な人手不足が問題となっています。
能力至上主義の民間への就職は、この十年で最もしやすい状況です。
常勤講師をだらだら続けることで、就職しやすい時期や機会を逃していることがデメリットに感じます。
もちろん、教師と違って民間で働くことはシビアな部分があります。
民間に向いていない、と思う人もいるでしょう。
でも、よく考えてください。
あなたが教える学生の多くは、最終的に民間に就職していきます。
そのためにまずあなたが「広い視野・視点・価値観」をもつことがどれだけ大事なことか、あなたには理解できるハズです。
一般的に民間で働くと、採用試験のための時間が確保しにくいということはあるでしょう。
常勤講師で働いていれば、日々の教材研究や授業内容が採用試験で活かせることもあるからです。
しかしそのまま常勤講師をしていても、どのみち採用試験対策の時間は自分で用意しなくてはならない、ってことに代わりは無いはずです。
これまで常勤講師をしながら採用試験の時間を少なからず確保できていたならば、民間にうつったとしても同様に確保できる可能性が高いです。
むしろ休日のメリハリがきっちりとある分、まとまった時間を採用試験の勉強に充てることだって可能かもしれません。
教育現場とは違い、民間は
- あなたの頑張りは、きちんと成果につながる
- その成果が、目に見える形で現れる
- 成果は、きちんと評価される
どれも今の教育現場では難しいものばかりです。
そしてなによりスキルアップや民間で働いていたという経験が身につく。
社会人経験者優遇の自治体もあります。
社会人経験者用の試験を実施している(一部科目を免除、または論文試験に変更する)自治体だってあります。
決して、教諭になるための回り道ばかりではないハズです。
今なら民間で働きやすいのに、常勤講師を続けることによって、その機会を失っている。
これも常勤講師を続けるデメリットであるように感じます。
常勤講師は、教諭になるためのステップアップになっているか?
常勤講師をされているほとんどの方は、その後、採用試験を受けて教諭になるために働いているでしょう。


そう考えていませんか?
講師としての経験は、貴重で代えがたいものに間違いありません。生徒との出会いや講師を経験したからこそ、見えてくる景色もあります。
ですが(一度きりのあなたの人生にもかかわらず)惰性で講師をしているなら、今一度、なぜ常勤講師を続けるのか? を真剣に考えてみてください。
本当に常勤講師を続けていることが、教諭になるためのステップアップになっていますか?
転職は、前職を続けながらだとうまくいく
もし、常勤講師を続けることが本当にキャリアアップになっていないなら、今すぐ転職するべきです。
転職が成功する秘訣の一つに、前職を続けながら転職活動を進めることが挙げられます。
教員採用試験に落ちれば、その年度内は良いとしても翌年度以降は何度でも身の振り方を考えなくてはなりません。
同じ学校、同じ教科、同じ科目で引き続き講師の枠があるかどうかは、年度末にならないと聞かされませんよね?
今なら間に合うものも、ギリギリになってしまっては間に合いません。
あたふたしてしまう前に、常勤講師として働いているうちにせめて情報収集だけはしっかりしておきましょう。
次年度も採用があると確約がない常勤講師の立場なら、転職サイトに登録しておくなど保険はかけておくべきです。
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常勤講師を続けるメリット、デメリットまとめ
本日の内容を整理します。
常勤講師を続けるメリットは
- 採用試験に合格していなくても、教師として働けること。
- 受験予定の自治体で数年勤めれば、教員採用試験で試験免除などを受けられる可能性があること。
以上、2点。
反対に、常勤講師を続けるデメリットは
- 大事な20代~30代の時期に、やりがい搾取されている可能性がある。
- 採用試験対策の時間を確保しにくい。
- 民間の就職難は既に終わっているのに、乗り遅れてしまう。
以上、3点。
一度きりの人生にもかかわらず、惰性で講師をしていませんか?
今一度「なぜ常勤講師を続けるのか?」を、しっかりと考えてみて下さい。
本当に、教諭になるためのステップアップになっていますか?