教師の1日。
教師として働いていると毎日の激務に追われて振り返ることがなく、教師以外の人からすると
と、なかなか想像しにくいようです。
何でも屋である教師は、むしろ表に見えてこない時間の方が盛りだくさんですよね。
最近だと、コロナの影響で除菌作業までさせられるし。
「教師が民間とズレている話」や「教師の転職情報まとめ」と似ているかもしれませんけど、教師の働き方はよくも悪くも民間のそれとは違う部分も多いです。
そこで教師の1日って、どんな様子なのか?
これについて、話そうと思います。動画でもわかりやすくまとめていますので併せてご覧いただければと思います。
目次
教師の勤務時間はセブンイレブン
いろいろ調べてみましたが教師の1日を視覚的に記したものがなかったので、自身の経験に基づき、教師のタイムスケジュールを作りました。
青はプライベートな時間。
赤系は(直接的・間接的に)仕事に携わっている時間で区別しています。
公務員と言えば、よくも悪くも
と言われ、そのような働き方について羨望のまなざしを向けられることが多かったと思います。
給与面については
- 不景気には嫉妬の対象
- 好景気には蔑まれる対象
として扱われることが多い印象です。
しかし教師のクジゴジ時代は、とうに過ぎ去りました。
そんな働き方をしてきた先人達はすでに、2,000万円以上の退職金をもらって第二の人生を歩んでいます。
参考:教師の退職金について
基本的に教師の多くは、朝7時までに家を出て、22時~23時に帰ってくる人がほとんどでしょう。
教師の1日のスケジュール
それでは、教師のスケジュールについて詳しく見ていきます。
朝7時には学校を出ている?|起床から職朝開始まで
お住まいの地域(交通事情等)によって長短はあるでしょうが、通勤時間の全国平均は37分※だそうです。
ちなみに私の場合、50分くらいかかっていました。
ほとんどの学校は職朝の時間が勤務開始時間だと思うので、勤務時間開始=8時20分を正式な勤務開始時間だとしましょう。
そうすると、ほとんどの先生は勤務開始の時間より30分~1時間ほど前である7時20分~8時過ぎには、学校に到着しています。
早くに来なければならない理由はいくつかあります。
- 当番制(日直)で、職員室の掃除
- 欠席連絡の対応
- 当日の授業準備
- 前日の仕事のやり残し
- 部活動の朝練
ざっと挙げてみましたが、経験があるものだけでもこれだけあります。
おそらく(教師に限らず)社会人のほとんどの人が、定められた勤務時間の30分以上前には出勤して業務を開始している。
それが日本人の働き方だと思います。
教師も同じです、30分以上前に出勤している人が多いでしょう。
そのため起床時間は逆算すれば、だいたい毎朝6時から6時30分。
7時には家を出ているでしょうね。
勤務時間開始の30分以上前から実質的な勤務が始まる。
もちろん、時間外労働にはなりません。
そもそも30分未満の労働は、みなしの範疇だろうから・・・って、そもそも教師には残業代が出ていませんでした。
参考:教師の給料大公開!
教師の職員朝礼ってどんなこと話しているの?|法律上で勤務が開始する時間
ちなみに、職朝の長さは日によってまちまちですが
- その日の連絡事項
- 定例の職員会議で議論していては間に合わないこと(緊急性の高い内容)
これらの話題を中心に
- 職員全体
- 学年団(または分掌別)
へと流れていきます。
その後、担任は(場合によっては副担任も)自分のHRの教室へ。
その他の先生で係に当たっている人なら、立哨指導(門の前や下駄箱付近での立ち当番)が始まる。
こうして1日が、本格的に始まっていきます。
週20時間は授業をしている|1時間目開始から昼休みまで
最近では7限授業×5日間(平日)で授業日(校時)を設定している学校が多いと思います。
1日に何個の授業をこなすのかは、主に学校の教務部が年度当初に作る時間割によって決められます。
その時間割をベースに、出張や学校行事などイレギュラーなことがあれば臨時時間割を組んで、その日に行う授業が決まっていきます。
特別時間割などを除くと
- 2単位の授業なら、1週間に2回授業がある。
- 2単位の授業を10クラス受け持っていれば、週に20時間授業をしている。
これが標準。
週に20時間と言うことは、全体で35時間(7限×5日)ありますから、だいたい半分以上は生徒の前に立って授業をしているってことになりますね。
TT(ティームティーチング、1クラスに2人入って授業する)や分割授業(1クラスを2つに分けて授業する)をしていれば、余裕で週20時間以上の授業時間数になります。
私のとある1日で言うと、その日には4つの授業が入っていました。
生徒が7限授業を受けているうち、私は4つどこかで授業しているので、本来3コマ分は空きコマのはずです。
しかし、空きコマとして書かれているのは1つしかない。
授業のない時間は休憩では無い|授業が無い空きコマの過ごし方
いまだにこう考えている人も居るかもしれませんが、教師にはそんな時間がほとんど存在しません。
私からすれば「銀行の窓口業務は15時に終わるから、銀行員は15時に仕事が終わっていいよね。」って言っているようなものです。
授業が無い時間(空きコマ)は何をしているのか?
大きく分けると
- 自分で好きに使える時間
- 自分の裁量で使えない時間
この2種類に分けられます。
そして全ての空きコマという訳じゃないですけど、基本的に空きコマは自分の思い通りに使えないって事が多いです。
さっきも言ったように、授業編成は年度当初に全て決まっています。
だからこそ
ってことが、全職員に知れ渡っています。
そこを狙い撃つように(自分の意見を通さずとも)予定がどんどん組まれていきます。
具体的に(勝手に予定が埋められていく)業務内容はこんな感じです。
- (生徒指導部や教務部など)分掌や学年の作業
- 分掌別や学年の会議
- 業者等との打ち合わせ
- 校内(校外)巡視当番
- 研修
- 面談(管理職・教職員・保護者等)
これらの業務が全てない状態で、なおかつ、突発的な対応(生徒の問題行動や体調不良、急な来客や電話、折り返し連絡)が無いときに初めて、空きコマを自分の意思で使えるようになります。
机をきれいにしてから(仕事を片付けてから)席を離れても、帰ってきたら書類でわんさか・・・なんて日常茶飯事ですから、勤務時間中に自分のペースで仕事をするってのは、本当に難しいです。
参考:なぜ教師の仕事は長時間になってしまうのか?教師歴10年の筆者が語る
自由に使える空きコマがあれば、勤務時間中でも次の授業の準備(教材研究や予備実験、プリントの印刷等)や、事務作業(書類作成等)にとりかかることができます。
教師の昼休みは10分あれば良い方|教師の昼休み事情
離れてみてわかりますが、教師の働き方・・・特に休憩時間の概念は、世間とだいぶズレています。
休憩時間とは本来、一切の業務から解放される時間です。
しかし実際はどうか?
と ナルシストモードに入っているんじゃ 錯覚しているんじゃないか?
そんな風に見える「休み時間にも仕事をすることが当然!」と考えているような人たち、それが教師です。
逆にこんな話を聞くと、民間経験が無く、大学を卒業してすぐに教師になった人は
ってびっくりするでしょうね。
小学校なら給食指導があるから
「ご飯を食べる。」ということですら、仕事
この意識でしょう。
自分の裁量で自由に使える空きコマがあれば、それが休憩時間代わり。
スキマの時間を見つけては、モノをほおばる生活。
だから毎日の昼休みは、10分程度あれば良い方です。
教師をしていてゆっくりとご飯を食べた記憶は、ただの一度たりともありません。
ましてや、昼休みが30分や45分もあった試しはありません。
だからでしょうか。
って考える教師が多いです。
学校にいる人で、昼休みを堪能できるのは
- 生徒
- (役所から来ている)一部の事務職員
- そして校長
だけです。
なぜ教師の昼休みは無いのか?|教師の昼休み事情
ほとんどの教職員は、昼休みでも何らかの仕事をしています。
そう思う人もいるかもしれませんね。
そんなことは言われなくたってわかっているし、全教師が感じています。
大きな問題ですが
です。
空きコマと違い、昼休みは保護者・生徒・学校関係者すべての人が、教師の体が(物理的に)空いていることを知っています。
いわゆる
と考えて、昼休みの時間帯には主に外部からの仕事がどんどんやってくるんです。
まぁ学校内部からも(昼休みが唯一)フェイス to フェイスで話せる時間ですから、昼休みに仕事携えて近寄ってくる教師もいっぱいますけどね。
ノンストップで業務が続く|昼から放課後まで
午後の仕事っぷりは、基本的に午前中と大差がありません。
民間と違うのは、ほぼ晩までノンストップで業務が続くってところでしょうか。
民間では15時あたりに15分から30分程度の休憩があると思いますが、教師は昼休みと同様、業務から解放されるという時間は一切ありません。
そして1日の校時(授業)が終了すれば
- 帰りのSHR
- 教室等の掃除・消灯・施錠
- 生徒の帰宅指導
をします。
そして教師の1日は、ここからが長いのです。
やることが多すぎて、残業が当たり前の毎日|放課後から帰宅まで
放課後の予定は大きく分けて3つ。
- 会議や研修
- 部活指導(生徒会活動含む)
- 事務作業や授業準備等
1番の会議や研修については、月に1回(~2回)の全体の職員会議や、学年や教科会議なんかの日もあるでしょう。
中堅になってくると
- 運営委員会
- 教育課程検討委員会や入試対策委員会などの各種委員会
- (内外問わず)分掌や部活動の会議
なんかもあります。
案外ネックなのが、職員研修。
人権研修や進路指導研修など、講師をお呼びしているので欠席するわけにもいきません。
個人的に教師にはお金の勉強が必要だと思っているので、金銭教育やその研修があるといいなぁと思っています。
2番の部活動については、もはや説明不要。
長時間勤務の根源となっている部活動指導です。
3番の事務作業や授業準備(教材研究)は、いつも後回しになります。
1日の最後の最後に、自分の仕事をこなします。
早ければ15時や16時から取り掛かることも可能ですが、多くの教師は部活指導があるため、部活終了後に自分の仕事に取り掛かる。
そのため、自分の仕事の時間は20時以降からと考えている教師だって多いはずです。
こうして、1日が終わるのは21時や22時。
そっから帰宅して、ご飯食べて風呂に入って、寝る。
こんな生活が毎日です。
教師の土日祝は?
土日の仕事は、部活のある・なしで随分と違います。
休みの日の業務と言えば、部活。
特に、運動部全般と吹奏楽部は休みが無いはずです。
私がインタビューした人の中には、それが嫌で転職した人も多いです。
私自身も、県ベスト4程度の(強さの運動部の)監督をしていた時は、丸1日の休みは年間で5日程度でした。
民間では、休日数=年間100日。これが目安だと思います。
100日を切れば少ないし、110日を越えれば割とまとまった休みがしっかり取れるような会社です。
最近では学習時間確保の観点から、進学校なんかを中心に
- 模擬試験
- 確認テスト
- 半日授業
なんかを土曜日に実施している学校も増えています。
参考:働き方に悩む教師へ、1度は読んでもらいたいおすすめの一冊!
教師の1日、まとめ
教師の勤務時間は(概ね)8〜16時30分ごろの8時間半(うち45分の休憩時間)で設定されていると思います。
しかし殆どの学校では、勤務終了時間である16時〜17時には、未だ多くの生徒が残っているはずです。
これで定時に帰りましょうと言うのは、全くもって不可能です。
例えとして表現は悪いですが
- お客さん(生徒)が残っている状態
- かつ交代要員も居ない(自分しか対応できない)
そんな状況で、その場を立去る店員はいません。
教師の勤務時間内に全生徒を帰す動きがない以上、全教師が定時に帰ることなんか不可能です。
出来ないのであれば、勤務時間内に職員を帰せるように、仕事そのものを減らすしかありませんよね。
20時から仕事だと考える教師が多く、その結果、毎日の残業時間は4・5時間近く。
1週間(平日5日)だけでも、軽く20時間は残業せざるを得ない状況。
月に換算すれば、それだけで教師の残業時間は80時間以上になります。
変形労働時間を導入するだとかタイムカード導入だとか、そんなことどうでもいいのではないのでしょうか。
教師の1日の問題点や改善点について本気で考えないと、これからますます教師のなり手が減ってしまうでしょう。