現在教師をしているが転職をしようとしている人や独立を検討している人だと、「保険」についてはあまり詳しくない人もいるかと思います。
ずっと教師で働き続けるなら特にわからなくても問題はありません。学校の事務の人が丁寧に(?)教えてくれますからね。しかし教師を辞めて転職したり開業したりするならそうはいきません。
今これをご覧の教師でも、現在加入している保険の仕組みや制度などについて、何も知らないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、保険の中でも特に転職など仕事に関わる公的医療保険について説明していきます。
この記事を読めば
- 公的医療保険制度とは何か
- 公的医療保険と民間の保険の違いについて
- 独立、転職する場合に加入する保険
以上がわかるようになります。
公的医療保険とは
すでに知っている人も多いとは思いますが、改めて公的医療保険について説明します。
公的医療保険とは、年齢や所得に応じて、医療費の1〜3割のみを本人の負担にすることで被保険者の医療費を軽減する制度です。
日本には「国民皆保険」と呼ばれる制度があり、公的医療保険に国民全員が加入することになっています。
この保険のおかげで、病院にかかった際、保険証を提示することで実際に支払う医療費が減っています。
まぁその分高い保険料(年間数万円)を払っているので、普段病院にかからない健康な人はその恩恵に預かる機会は減っちゃうかもしれません。
教師の仕事と保険証の関係で言えば、校外学習や遠足の時に気にするでしょうか?
生徒が校外学習など校外での活動をしている際に怪我や病気で現地の病院にかかった場合、診察の段階で保険証がなければ一旦10割負担(全部支払う)しなくてはいけなくなるため、金銭的負担が大きくなってしまいますからね。
最近だと個人情報やリスク管理の観点から、生徒本人に持たせるよう指導をすることで、学校での一括管理は減ってきているように感じます。
公的医療保険とは、身近なだけにあまり意識したことがないかもしれませんが、国民全員が加入している制度となります。
民間の医療保険との違い
これも知っている人からすると当たり前のことなんですが、公的医療保険と民間の保険会社などで加入する保険は全くの別物です。
アフラック、明治安田生命、オリックス生命などの生命保険会社が販売している保険商品で、公的医療保険とは異なり加入は任意です。
いわゆる生命保険や医療保険は民間の販売する保険であり、公的医療保険とは別物になります。
よく知られている民間の保険は下記の二つ。
- 生命保険
- 医療保険
生命保険と医療保険は、保障される内容及び保険金の受取人に大きな違いがあります。
生命保険は被保険者が死亡した場合に保障が適応され、医療保険は被保険者が病気やケガの場合に保障が適応されます。
保険金の受取人の違いとしては、生命保険は被保険者が亡くなった場合に被扶養者の家族などが保険金を受け取りますが、医療保険は被保険者本人が保険金を受け取るのが一般的です。
公的医療保険と別に民間の保険に加入する場合には、保障内容や保険料と照らし合わせて適切なものを選ぶと良いでしょう。
決して、共済組合の女性の提案を鵜呑みにして、比較検討もせずに加入するのは辞めましょう。
公的医療保険の種類
ここからは、教師からの転職を考える人に向けて、私自身の経験を踏まえてお話ししていきます。
公的医療保険は、加入者が支払う保険料を主な財源とし、加入者の医療費を軽減するように整えられています。
年齢や住んでいる地域、職域、職種によって加入する保険が異なっており、下記のようにいくつかの種類があります。
- 市町村が運営する国民健康保険
自営業者などが加入 - 協会けんぽや各種健康保険組合が運営する健康保険
企業に所属する人などが加入 - 各種共済組合が運営する保険
国家・地方公務員などが加入 - 船員保険協議会が運営する保険
船舶の船員などが加入 - 後期高齢者医療制度による保障
75歳以上の人または、65歳~74歳で一定の障害の状態にあるものが加入
教師をしている方は上記の中でも「共済組合」の保険に加入しているかと思います。
ちなみに保険料などは公的医療保険の種類によって異なってきます。
教師を辞めた場合に加入する保険について
教師を辞めた場合には加入する公的医療保険の種類の変更が必要な場合があります。
加入する保険によっては自ら手続きなどが必要になる場合があるため、注意が必要です。
教師から転職する場合
教師から転職する場合にも、いくつかのパターンがあります。
例えば、公立教師から私立教師に転職する場合の医療保険について。
この場合は転職後も「各種共済組合が運営する保険」から変更はありませんが、運営する共済組合が変わるため、保険料や保険内容が変更となる場合があります。
教師以外の別の職種に転職して企業に勤める場合には、「各種共済組合が運営する保険」から「協会けんぽや各種健康保険組合が運営する健康保険」に変更となります。そのため共済保険からいわゆる健康保険(社会保険)に切り替わります。
いずれの場合でも基本的には、企業(または私学の事務員)が保険加入先変更の手続きを行ってくれます。
一方で、教師を辞めてから転職先に入社するまでに期間が空く場合、または教師を退職後何の職にもつかないような離職期間中は「国民健康保険」に加入する必要があります。
国民健康保険の場合は、自ら(または親族などの代理人)が役所に行き、保険証発行の手続きを行う必要があります。
また国民健康保険の加入・喪失の手続きは、加入・喪失の事由が発生してから、14日以内が原則のため留意が必要です。
加えて、国民健康保険に加入している場合には、毎月自分で保険料を支払う必要もあります。おそらく年金の切り替えも同様に行う必要があるため年金の支払いと一緒に毎月の保険料の支払いを忘れないようにしたいところです。
教師から独立する場合
教師から独立して、自営業などを行う場合には「各種共済組合が運営する保険」から「国民健康保険」に加入先を変更することが必要です。
先ほどの離職する場合と重複しますが、国民健康保険は自分で役所に行って手続きする必要があり、また毎月自分で保険料を支払う必要があります。
ただし、独立後に法人を設立する場合には、法人が所属する「協会けんぽや各種健康保険組合が運営する健康保険」に加入することが可能です。
法人を設立して保険に入るのか、国民健康保険に入るのかで保険料や保障内容は異なってきます。
独立後法人を設立するかどうかは、保険の観点なども確認し決定すると良いでしょう。
公的医療保険の扶養制度
公的医療保険には扶養制度というものがあります。
公的医療保険の被保険者の扶養に入った場合には、被保険者(本人)だけではなく、被保険者から扶養されている者(被扶養者)も病気やケガなどで保険給付を受けられる制度です。
被保険者の払っている保険料で扶養者も保険給付を受けられるため、家計全体で見ると金銭的負担が少なくて済みます。
被扶養者となるためには、家族の中でも三親等内の親族と決められています。
また、被扶養者の中でも同一世帯か否かによって扶養に入れる条件が異なってきます。
「同一世帯」とは同居しており、かつ、家計が同じで被保険者から一定以上の生活費の支援を受けていることを指します。(令和5年現在)
- 被保険者と同一世帯に属している場合
年収が130万円未満(対象者が60歳以上もしくは障害厚生年金を受けている障害者の場合は180万円未満)であり、なおかつ被保険者の年収の2分の1未満であること。 - 同一世帯に属していない場合
年収が130万円未満(対象者が60歳以上もしくは障害厚生年金を受けている障害者の場合は180万円未満)であり、被保険者からの援助による収入額より少ないこと。
このあたりの細かな金額については、今後大きく変動する可能性がありそうなのでしっかりとチェックしておきましょう。
教師を辞める場合、保険はどうしたらいいの?まとめ
- 公的医療保険とは、いわゆる健康保険のことで教師時代では共済保険。
- 公的医療保険と民間で販売している保険は全くの別物。
- 教師を辞める場合には、加入する公的医療保険が異なる可能性があるため確認と変更手続きが必要
日本の公的医療保険はすべての国民が加入しているため、すべての国民が知識を持っている必要があります。
自分の加入している公的医療保険とは何なのか、どれだけの保険料を支払っていて、どのような保障内容なのかも確認しておくと良いでしょう。
自身が保険料を支払って保険に入っているため、知識を持ち最大限活用できる良いでしょう。