教師を辞めたいと思って、転職を考え始めたときに最初にぶつかる壁がこれ。

そうです。
これが最大の不安要素です。
教師は民間で勤めた経験がほとんどない人が多く、周りを見渡しても転職経験者が少ないです。
参考:教師を辞めたいと思う前に、確認しておきたい情報をまとめました
この記事では、たとえ未経験でも安心して教師から民間企業へ転職するために必要な行動や考えを、高校教師歴10年以上の松梅タケが5つにまとめて紹介しています。
- 未経験だけど、教師から転職できるのか?
- 教師の転職って、どうすればいいの?
- 教師を辞めたいんだけど、何から始めればいいの?
これらのお悩みを、解決していきます。
動画でもわかりやすく解説しています。
目次
教師の働き方に関する世間や民間の認識を知る|ステップ1
まず教師の働き方に関する民間の意識を知っておきましょう。
民間への就職経験がない(いわゆる)民間未経験者の教師にとっては、働き方について齟齬が生まれることが多いです。
教師の働き方と民間での働き方の違い
民間と教師とのズレの記事でも書いていますが、これまで働いてきた教師の業務というのは良くもも悪くも民間での働き方とは違います。
- 初任者から一人で、いきなり一人前扱い。
(初任者研修はあるが、形骸化しているようなもの) - 教員免許さえあれば(かつ各自治体に登録していれば)誰でも働ける。
- 収益や売り上げを考えなくてよい。むしろお金は使わないように指導される。
(「お金かけるな、手間かけろ」と教えられて働く) - 結果を誉めることと同じくらい、努力を認めることに重きを置いている。
- 能力やスキルに関わらず、教師の給料は年齢や職種で決まっている。
などなど、公務員である影響もさることながら、教育現場であるがゆえ民間企業での働き方とは大きく違います。
売り上げを考えることなく、結果がダメでも努力を評価する。
日常的にこのような働き方をしているので、教師の多くはお金に対しての考え方が民間で働く人と大きく異なります。
もっとも世間とずれているのは、お金に対する考え方やビジネス経験
給与についても同様です。
小学校、中学校、高校の順に平均年収は上がりますが、もっとも高い高校教師の平均年収は、(昔に比べると下がっているとはいえ)それでも500万円以上はあります。
参考:教師の給料大公開!
そうはいっても、労働環境は過酷です。
教師のバトンなんかでも話題になっていますが、教師には残業代が(ほとんど)ありません。
小学校教員の残業時間は平均48時間33分で、上限を超えた人は過半数の51・5%。中学校教員は平均66時間46分で上限超えは71・9%に及んだ。 集約人数が少なかった高校と特別支援学校を合わせた全校種平均では、合計54時間21分、上限超えの割合は57・8%だった。
引用 公立小中校の教員、残業「上限」超え58% 北教組調査ー朝日新聞デジタル
民間であれば50〜60時間も残業していれば、それだけで手当が8万円/月ほどアップします。
しかし教師にはありません。
実労働で換算すれば、意外と貰っていない(民間と同程度)となります。
教師の働き方について、世間や民間企業が抱くイメージ
以上より、民間や世間がいだく教師の働き方については
- 初任者から一人で、いきなり一人前扱い。
→教師はビジネスマナーなどが身に付いていないのでは? - 教員免許さえあれば(かつ各自治体に登録していれば)誰でも働ける。
→スキルや能力が低いのでは? - 収益や売り上げを考えない働き方。
→即戦力にならないのでは? - 結果を誉めることと同じくらい、努力を認めることに重きを置いている。
→ビジネス経験が無さすぎて、役に立たないのでは? - 能力やスキルに関わらず、教師の給料は年齢や職種で決まっている。
→高い給料をもらって当然と思っているのでは?
このように思われているんだと、しっかり認識しておきましょう。
自分の年齢に応じた転職戦略を考える|ステップ2
世間とのズレや教師に対する働き方の認識の違いを理解したところで、次のステップです。
学校現場でのストレスや身体に不調が出てくると、今すぐにでも教師を辞めたいと思ってしまいます。
もちろん健康第一なので、我慢せず辞めてしまうのも一つの手かもしれません。
しかし転職後の人生を優先して考えるなら、辞めるのではなく、働きながらあなたの年齢に応じた転職戦略を持っておきたいところです。
20代前半教師の転職戦略
20代は25歳くらいまでの20代前半と、26〜29歳までの20代後半とでは戦略が異なります。
一般的に20代前半での転職は第二新卒と呼ばれ、即戦力で採用したいというよりも
- あなたの将来性
- あなたの人間性
- あなたの向学心
これらのいわばあなたが持っているポテンシャルで、採用されることが多いです。
勤続年数が短く、数年で転職するのは(日本では)不利に見られることが多いです。
よって、後ほど詳しく話す「教師を辞めたい理由」「将来なりたい自分」などはしっかりと持っておきましょう。
20代後半教師の転職戦略
一方、20代後半の教師が転職する際の戦略としては、マネジメント能力やコミュニケーション能力を武器の一つとして転職活動をしていくと良いでしょう。
ビジネス経験がない教師、ましてや未経験の立場での転職となると、即戦力を求められる転職(中途採用)では不利にはたらくのは事実です。
しかし20代後半の教師ともなれば、担任経験もあるでしょうし、いわゆるひと周り学年を経験しているはずです。
分掌業務でそれなりの実績がある人も多いでしょう。
それら教育現場で身についたマネジメント能力やコミュニケーション能力は、多くの場合、営業職や営業の業務で役に立ちます。
ただし、学校現場はおままごとのように考えている人も少なくありません。
この辺りについては、以下の記事で詳しく説明しているので参考にしてください。
30代教師の転職戦略
30代で教師を辞めようと思うと、相応の理由と相応の準備が必要です。
とはいえ、世間での平均転職年齢は、今や32歳前後。
2020年に転職した人の平均年齢は32.0歳、男女別では男性が32.9歳、女性が30.1歳でした。いずれも調査を開始した2008年以降で最も高い年齢です。
dodaが取り扱っている求人のうち、80%以上がサイト上には公開されていない非公開求人。
非公開求人を含む求人の紹介はもちろん、企業へのエントリーや面接日程の調整、アピール方法など、内定までをトータルサポートしてくれます。
企業側が30代の転職者に求めていることは一つ。
したがって、ビジネススキルやビジネスマナーもさることながら、実務経験や資格なども必須になってきます。
教師を10年近く続けてきた30代。
本当に教師しかしてこなかったのであれば、実務経験も資格も教師にまつわるものしかありません。
そんな場合、即戦力として働けるのは
- 教育業界(出版会社や教材販売会社)
- 塾講師
となるでしょう。
一方で、私もそうでしたが離職する1年前から自ら時間を作って、副業として
- サイト運営
- ビジネススキル
- 資格取得
など、教師以外の実務も積んできました。
30代教師が激務をこなしていることは、身をもって理解しています。
それでも、時間をうまく使いながら準備をするのです。
逆にいえば、そのぐらい
かもしれません。

おすすめは、時間の使い方(仕事の整理)の見直しと資格取得。
記事も用意しているので、参考にしてください。
40代教師の転職戦略
20年近く教師をしてきた40代教師が、転職したいと思うきっかけは大きく3つ。
- 体に大きな不調をきたした
(体調不良、うつ病など) - 大きなトラブルを抱えてしまった
(懲戒処分など) - 時間の使い方を見直すことになった
(親の介護や家庭の事情によって、働き方を変更することになったなど)
このいずれかでしょう。
これら全て、転職後にも影響があると考えられます。
散々話してきましたが、教師の転職は甘いものではありません。
ましてや、民間未経験の教師が即戦力を求められる職場でやっていくには、相応の準備や実績が必要になります。
したがって40代教師が未経験でも転職するには、個人事業や独立開業、フリーランスなど自分の力だけで稼ぐ方法を模索した方がよっぽど成功できます。
なお、懲戒処分(懲戒免職など)で民間企業に転職する場合。
企業に提出する履歴書の経歴の欄には、必ず受けた懲戒処分を記載しなければなりません。
キャリアの棚卸しをして、未来の自分を明確にする|ステップ3
目標や方向性など転職戦略を明確したら、次に行うのはキャリアの棚卸しです。

「45歳定年」を謳う企業が出始めている昨今。
これらは非常に重要になります。
自分で紙に書き出すでも良いし、プロの人に聞いてみるのも良いでしょう。
キャリアの棚卸しをすると
- 自分のスキルを活かせる職種や職場が、見つけやすくなる。
- 自己PRや職務経歴書などを用意するときに、自分の強みがハッキリする。
- これからどんなキャリアを積んでいきたいのか、明確になる。
など、現在の自分の立ち位置と、未来の自分のゴールの輪郭がくっきりとするハズです。
個人的には自分のことは意外と人から見てもらった方がわかることが多いので、プロに頼んだ方が「確実で早い」です。
もし自分でやるならば
- 1日の仕事の流れを時系列で書いてみる(平日と土日別で)
- 頑張ったところや、意識したところを書き出す
- 年単位で整理して、経年変化をみる
- 特徴的なものや頻出する項目は、自分の強み(キャリア)の可能性大
このような流れで行うと良いでしょう。
転職サイトへの登録し情報を集め、転職活動を本格的に始める|ステップ4
ここまで準備ができていれば、未経験だとしても「教師から転職したい!」という意識も高くなっているハズです。
転職情報や求人情報を集める段階です。
集める方法は、大きく二つ。
- 転職サイトや転職エージェントなどに登録する
- お住まい近くにある職業安定所(通称:職安)にいって相談する
このどちらかになります。
おすすめは、転職サイトや転職エージェントなどに登録することです。

その中でも私なら、色々とアドバイスまでしてくれる転職エージェントを利用する方が良いと感じています。
実際に私も利用しました。
本サイトでもいくつか記事を書いていますので、気になるものを参考にしてみてください。
転職理由や志望動機、職務経歴書や自己PRを用意して面接|ステップ5
さぁ、いよいよ最後のステップです。
実際に転職試験に備えて準備を行なっていきます。
- 履歴書
- 職務経歴書
この2つには
- 志望動機
- 転職理由
- これまでの経歴
- 自己PR
- 資格やスキル
など、転職後にどれだけ活躍できる人材であるかをまとめていきます。
生徒たちにもよく言ってきたと思いますが、何事も
です。
面接試験に向けて、しっかりと準備を行なって企業にアピールしていきましょう。
まとめ
未経験だからといって、尻込みする必要はありません。
日本の教師の多くは、能力が高く、人間性も問題がありません。
自信を持って、転職活動に励んでいきましょう。