いざ教師から民間企業に転職しようと思い、転職活動を始めて最初に手が止まってしまう職務経歴書。
私も、いざ職務経歴書を書こうと思うと手が止まりました。
なんせ、職務経歴書なんて初めて書くし、そもそもどうやって教師の仕事を職務経歴書に落とし込んでいったら良いかわかりませんでしたからね。
この記事では(アドバイザーがいる・いないに関わらず)、転職活動の第一歩目とも言える職務経歴書の書き方について、転職経験ありの高校教師歴10年以上の松梅タケが詳しくお話していきます。
動画でも解説していますので、よろしければどうぞ!
目次
職務経歴書とは、あなたが何のスペシャリストなのかを知るための資料だ!
転職に必要な書類のうち、履歴書と並んで重要な書類が職務経歴書。
採用担当者に「ぜひ面接をして、話を聞いてみたい。」と思ってもらうための資料です。
転職サービスや転職エージェントを利用していると面接確約のオファーをくれるところもありますが、多くの場合この職務経歴書がカギとなるのだそう。
だからこそ職務経歴書で失敗したくないし、転職を成功させるために面接の次に大事なのが職務経歴書だと感じています。
・転職面接で、元教師が気をつけるべき服装のポイント
・教師の自己PRってどうすればいいの?
・転職活動中の教師が知っておくべき役員面接の対策とは?
そんな職務経歴書とは、言うなれば「一体、あなたは何のスペシャリストなのか?」ということを、企業が知るための資料だと感じています。
教師の職務経歴書は、実績や能力を具体的にわかりやすく表現するのが大事
教師の仕事は、外からだと見えづらい部分で頑張っていることが多いですよね。
例えば授業。
教師じゃない人からすれば「50分喋っておしまいでしょ?」と思うでしょうが、実際はそうじゃありませんよね?
- クラスの雰囲気によって、表現を変える
- 習熟度を見極め、教材を変える
- 理解度・発達段階に応じて、内容を変更する
以上のことを、激務をこなしながら少ない時間で効率よくやってきているハズです。
その上、50分という限りある時間の中で
- 状況を判断し、進度や内容を変える
- 役者になりきり、伝え方を工夫する
- 生徒のつまづきを察知し、フォローする
- それでいて、カリキュラムを終了させられるよう調整する
など、あなたが実際に授業で自然と行なっている取り組みもある。
それにも関わらず

だけで終わっちゃうと、うまく伝わってくれないんですよね。
(語弊はありますが)生徒は顧客と言えます。その顧客の満足や理解を得るために、様々なアプローチをしているのが授業なのです。
むしろもっとシンプルに考えて、数十人の前で喋ることができるだけでも、立派な能力だと思っています。
教師の実績や能力は、そのまま書いてもうまく伝わってくれません。
ましてや「子ども相手にしか、仕事ができないのでは?」と色眼鏡で見てくる人さえ、いるかもしれませんよね。
悔しいじゃないですか、ちゃんと伝わってくれないのって。
だからこそ教師の職務経歴書は、実績や能力を具体的にわかりやすく表現する(言い換える)のが大事です。
私が思いつく限り、言い換え例(アピールポイント)を載せておきます。
これを参考にして、あなたなりの言葉で表現を工夫してください。
- 授業
→プレゼン能力、コミュニケーション能力、専門性、訴求力 - 生徒・保護者対応
→リスクマネジメント能力、コミュニケーション能力 - 部活動、担任業務
→体力、精神力、技術指導力、推進力、リーダーシップ - 分掌業務
→教務ならマネジメント能力、進路指導なら企業や社会の問題点や改善点にも言及など
過程だけでなく、具体的な結果を明記するのも大事
私もそうでしたが、教師の職務経歴書(に限らず履歴書や面接に至るまで)には
と、書くことが多かったです。
例えば、先と同様に授業を例にすると。

みたいな感じで伝えることが多かった。
もう少し踏み込んだとしても

くらいで、終わっちゃう。
でもこれじゃ「授業頑張ってたんだね、お疲れ。」で終わっちゃうかもしれません。
以前の「民間とのズレ」記事ではそこまで触れていませんが、教師をやっていると民間で働く人たちと違って、結果を客観視することがしにくくなります。
教育って、お金や業績など客観的にわかりやすいもので評価しにくいですからね。
また、努力を認めて欲しいと感じている生徒たちに日々囲まれ、我々もついつい主観で判断してしまう機会が多いし。
過程や主観による評価も一定量は必要でしょうが、職務経歴書に記載するなら具体的な客観的事実(変化や結果)まで、しっかりと記載しましょう。
例によって、授業を参考にしてみます。
あなたの取り組んだ授業方法で、具体的に何が変わりましたか?
- 難関大学の進学率が、○%向上した
- 毎年行われる授業評価アンケートで、〇〇%の良い評価を受け続けた
- 保護者とのトラブルは、○年間で△件以下だった
など、あなたの取り組みによってもたらされた結果や変化を、数字を用いて具体的に伝えてみてください。
よりあなたがスペシャリストなんだ、ってことが採用担当者に伝わるハズです。
応募する職種や業種に応じて、アピールする内容は変更する
教師からの転職に限らず、職務経歴書は受ける会社によって変えたほうが良いとされています。
なぜなら会社によって、求める人材やスキル、能力が違うからです。
例えば営業職なら、元教師としてのコミュニケーション能力やプレゼンテーション力を期待するでしょう。
塾講師なら、教科指導力や生徒指導力。
事務職なら作業効率や正確性を、企画開発や代理業なら聴く力や汲み取る力、物事を前に進める行動力なんかが期待されていると思います。
受ける会社によって今までの実績や取り組みの展開を変えると、説得力が増してあなたの専門性や唯一性がよりアピールできます。
教員採用試験の時を思い出してみてください。
受ける自治体の特徴や、求める教育像なんかを事前に調べませんでしたか?
それと似ています。
そういった意味では、授業と転職活動は同じですね。
事前の準備や方向性の決定で、結果が随分と違ってきます。
もし

と不安になるなら、素直に転職エージェントを利用した方が良いです。
無料ですし、その道のプロがバックアップしてくれますからね。
参考:【タイプ別】教師・教員におすすめの転職サービス・エージェントまとめ
参考:女性教師におすすめの転職エージェント3選と、転職に失敗しないためのコツ
職務経歴書を書く前にやっておくべきこと|元教師の場合
あくまで元教師として民間に転職した私の経験を基に、職務経歴書を書く前の準備をお話していきます。
いわゆるキャリアの棚卸をしておく
誰だって、いきなり綺麗な文章を書くことはできません。
むしろいきなり完璧を目指そうとすると、時間ばかりがかかってしまいます。
まずは、あなたの職歴を全部書き起こしてみましょう。
この時はまだ文章じゃなくて全然構いません。
**立***高校
教諭・講師の別
受け持った学年やクラス
担任や分掌
部活動や課外活動
このように書き起こしていきます。
教師歴が長いと、複数の赴任校や複数の学年・クラスを受け持っていると思うので、面倒くさがらずに自分の所属を時系列で思い出して、書き出していきましょう。
次に、具体的に何を頑張ってきて、どんな成果があったのか。
これを書き込んでいきます。
オススメは、数字や資格(スキル)を意識すること。
この時もまだ転職に役立つかどうかは置いておきましょう。
例えば、部活動なら大会やコンクールの結果が入れられるだろうし、身につけた資格や技術があるならそれも書いておきます。

という人でも、授業評価アンケートや自己評価シートなどの資料はあるはずです。
それらを参考にしながらでも、できる限り客観的に自分の行ってきたこととそれによってもたらされた(であろう)成果を書き出していきます。
準備で差がつくので、手間を惜しまず漏れ落ちなく進めたいところですね。
教師は運転免許と教員免許以外、めぼしい資格を持っていないことがほとんどなので、手っ取り早く実績を作るなら資格取得がオススメです。
仮に、転職段階で資格を取得できていなくても、勉強中であればアピールに繋がりますからね。
なぜ教師を辞めたいのか、転職先に求めることは何かを整理する
過去に書いた「教師の転職に必要な準備」の記事でも書いていますが、なぜ辞めたいのかは明確にしておきましょう。
安定している(と思われている)教師を辞めて転職するわけですから、それ相応の動機や目的があるはずです。
そういった、あなたの気持ちや考えの部分をきちんと整理した方が良いでしょう。
教師を辞める動機や背景などは、人それぞれでしょう。
こちらも時間をかけて、丁寧にまとめていきたいところです。
特に、転職先に求める内容は、(明記する・明記しないに関わらず)企業に志望動機をアピールするときに役立ちますからね。
もし教師を辞めたい理由が明確じゃなかったり、情報を整理したいと感じたりしているなら、こちらの記事が参考になります。
職務経歴書を書く
準備ができたら、いざ職務経歴書を書いていきましょう。
履歴書と同様に手書きでもいいし、パソコンで作成しても良いです。
何れにしても、A4用紙で横書き、全体で1〜2枚に収まるように書いていきます。
タイトルは職務経歴書とし、次の行に右寄せで作成日を記入するのが一般的。
作成日と書類送付日(または面接日)が大きくずれるなら、作成日を新しくしておくとベターだと思います。
書式は決まっていないが、読みやすさを心がけること
書籍や転職サイトなどを見てみるとすぐにわかりますが、職務経歴書に決まった書式はないと言われていますので、書きやすいように書いてあれば問題ありません。
しかし、採用担当者があなたの職務経歴書をじっくり読んでくれる保証はありません。
よって、要点を過不足なく端的に記載することが望ましいと思います。
こちらの話を聞こうとしている生徒や保護者と違い、人事担当者は興味があれば話を聞きたいと思っています。
- 興味をひく
- 読みやすい
- わかりやすい
こんな内容で、職務経歴書を書くべきです。
特に、教師はどうしても話や文章が長くなってしまう傾向がありますから、気をつけたいところですね。
出来上がった文章はできることなら、プロに添削してもらうのが無難です。
安心しますからね。
無理なら家族や親しい友人など、第三者の目で一度は見てもらってください。
職務経歴書を書くコツ
千差万別の職務経歴書なので一概には言えませんが、私なりのコツとしては以下の通り。
- 一文は短く。(「、」や「。」を含む)
- 大まかな流れは、現在、過去、未来の順で話を進める。
- 結論(事実)、理由、具体例、結論(アピール)の順で、構成。
- 企業にとって興味がありそうなワードを、入れ込む。
これらを意識しながら、棚卸したキャリアや具体的な取り組み内容(変化)などを、整理して書いていきます。
人によって読みやすい文章は異なりますが、程よい空白や漢字とひらがなの分量なども意識したいところ。
私は、以下のような見出し順で書きました。
- 職務経歴の概要
(300文字くらい) - 職務経歴
(時系列で箇条書き) - 主な職務内容
(言葉を置換、数字で裏付け、アピールしたいキャリア順に小見出しをつける) - アピールポイント
(パソコンスキルや有資格についても触れる、企業とのマッチング)
特に、「主な職務内容」がメインになってきます。
- なぜ、その取り組みを行ったのか。
- どうやって、その職務をこなしたのか。
このあたりを抑えながら、しっかりとアピールして書き進めていきましょう。
最後に以下のようなチェックをして、職務経歴書を完成させます。
- 誤字・脱字
- 3回は声に出して読み、淀みなく読み進められるか
- 具体的な数字や変化が、きちんと伝わるか
- 自己アピールが、企業の求める人材と一致しているか
教師から転職するときに必要な職務経歴書のまとめ
教師の転職で重要な職務経歴書について、抑えておくべきポイントをまとめます。
- わかりやすい言葉に置き換える。
- 数字を使って、具体性と客観性を持たせる。
- 読みやすさを意識する。(展開、書式)
- 企業が採用するメリットをしっかりアピール
職務経歴書を丁寧に書き進めて準備しておけば、そのまま面接の対策にも繋がります。
教師は喋ることに関して(一般的に)自信を持っているハズです。
よって、職務経歴書さえしっかりと作っておけば、教師からの転職はスムーズに進められるでしょう。
注意点としては、教師の言葉はだらだらと長くなったり、要点が曖昧で伝わりにくくなったりしてしまうこと。
内容に一貫性があって、あなたのセールスポイントが正確に正しく伝わるようしっかりとアピールしましょう。
業界大手のリクルートが運営する転職エージェント。
私が転職を決意した際に、登録したサイトです。
10万件以上の非公開求人を扱っているので、気になる求人や興味が湧く求人は必ずあります。
「いつかは教師を辞めたい」と考えているくらいの時点で、転職活動の様子を知りたい時に利用すると良いと思います。