嫌な響きですね、懲戒処分。
最近ではわいせつ行為をした教員に対して、免許再交付を拒否する法案も可決されましたね。縁遠くありたい懲戒処分ですが、いざ起こってから

では済まされない、大事な内容です。
この記事を読むことによって
・懲戒処分を受けるとどうなるのか?
・その後、どんな風に歩んでいったら良いのか?
以上のことがわかります。
ちなみに既に懲戒処分を受けてしまった場合や受けそうな場合は、以下の記事が参考になると思います。参考になさってください。
目次
懲戒処分とは?
まずは、懲戒処分そのものについて高校教師歴10年以上の松梅タケが確認していきます。
動画でもまとめています。
懲戒処分は、辞めさせられる事ではない?!
【 懲戒処分 】と聞くと

と考えるかもしれません。確かに懲戒と言えばクビのイメージがありますよね。
しかし、これは間違っています。
知っている方からすると当然のことですが、改めて説明しますね。
懲戒処分とは、地方公務員法第29条に規定があるとおり
このことを懲戒処分と言います。
教師に対する処分で多いのは
- 戒告
- 減給
- 停職
- 免職
です。
同じ公務員である警察官などでは、降職(役職等を下げられること)や譴責(始末書の提出を求める)なんていう処分もあります。
ちなみに公務員の場合、降職は懲戒処分ではなく分限処分(懲罰的な意味はなし)になります。
懲戒処分のうち最も重い処分が、懲戒免職。要はクビってことになります。
なので、懲戒処分=懲戒免職ではありません。
停職は、一定期間仕事をさせないという処分です。
もちろん、その期間の給与はありません。
減給は、給与の一部を一定期間減額することです。
減額できる範囲には、限度があります。
戒告は、本人の反省を促すためにされる指導(話し合い)のことで、訓告、訓戒、厳重注意などと似ています。
しかし戒告は懲戒処分、それ以外は懲戒処分ではありません。
処分量はどうやって決めているの?
では、その懲戒処分の内容(=処分量)はどうやって決めているのか?
処分量については非違行為の内容を細かく想定して、この内容にはこの懲戒処分をおこなうというように、あらかじめ処分内容明記されています。
(各教育委員会によって差異はあるようですが)同じような非違行為に対しては、どの教育委員会でも同様の懲戒処分になっています。
しかし場合によっては「免職又は停職とする。」というように、処分に幅があるものも多いです。
処分内容はあくまで標準的な目安に過ぎません。
したがって、明記されている処分内容よりも厳しくなったり軽くなったりすることもあるようです。
どちらかを決定する場合や、その他の処分を行うなどの場合。
処分量の決定は、原則
- 動機
- 態様
- 故意・過失
- 自主申告
- 隠蔽の有無
- 類似の非違行為を行った過去
など、そこに至った状況等を総合的に考えて決定されるようです。
至った状況を考慮するという判断材料の中には
というような
と思いたくなるような内容もあります。
グレーゾーンの内容だった場合、教育委員会が「社会に影響を与えるよね?」と言えば、加重できてしまいそうですが、懲戒処分の処分量をまとめると次のようになります。
- 原則、非違行為の内容によってあらかじめ示していた懲戒処分をする。
- 場合によっては、事情等を考慮して加重・軽減がなされる。
懲戒処分の対象となる非違行為の種類は?
懲戒処分とは当該の教師に非違行為があった場合、その教師に対して教育委員会が制裁としておこなう処分のこと。
でもこの非違行為って、いまいち漠然としていてよくわからない、って感じませんか?
飲酒運転だとか麻薬や覚醒剤をしてるとか、明らかに犯罪行為をしていればアカンってのはわかります。
しかしほかにはどんな内容がふさわしくない行為っていうんでしょう?
これについては、ほとんどの自治体(の教育委員会)が
- 処分の透明性と公平性を期すため
- 再発防止・綱紀の粛正のため
- 服務規律を維持させるため
これら目的のために、懲戒処分の基準や指針を用意し、そこで具体的に非違行為を挙げています。
基準や指針は、人事院の指針をベースに作られています。
ちなみに多くの教育委員会では、年々、懲戒処分の厳罰化が進んでいますのでこれからますます厳しくなることでしょう。
非違行為は大きく分けて5つに分類されます。
- 服務関係
欠勤・早退遅刻、休暇の虚偽申請など「働き方」に関わる内容や、職務専念義務違反や営利企業等の従事制限違反など教師の身分に関する「法律」に関わる内容によるもの。 - 公金関係
学校での預かり金を、横領・窃取・紛失した場合や、盗難被害に逢った場合。 - わいせつ関係
強制わいせつやセクハラ行為等によるもの。 - 校務内外の非行
体罰や仕事以外で行った犯罪行為など。 - 監督責任
非違行為をした教師を監督している立場の管理職が受けるもの。
それぞれ掘り下げてみます。
服務関係による懲戒処分
教師の働き方に関する非違行為は、服務関係にまとめられています。
わかりやすいところでいうと
- 欠勤
- 早退
- 中抜け
なんかがそうです。
病気休暇等を不正に取得する、ってのも話題になりましたね。
過去には(教師ではないですが)消防士の方が
家賃収入を含む7,000万円の収入を無許可で得ていたことが問題になり、懲戒処分(減給)
されたこともありました。
上の事例で補足しておきます。
この人は業者を通さず自分で(父親の不動産会社を手伝って)家賃収入を得ていたことが、問題だと言われています。
公務員が家賃収入を得てはいけない、ってことじゃないので安心してください。
なお服務関係の懲戒処分は、減給又は戒告が多い印象です。
公金関係による懲戒処分
学校での預かり金(給食費、学級費、部活動の部費など)について
- 横領・窃取(免職)
- 紛失・盗難(減給又は戒告)
- 不適正処理・不適正使用(減給又は戒告)
してしまうと、懲戒処分の対象です。(かっこ内は、標準的な懲戒処分の内容)
総じて
- 犯罪行為は、もれなく免職
- 故意や過失による行為は、減給又は戒告
が多い印象ですね。
そもそも、教師が学校でお金を預かるべきじゃないって思うんですよね。事務仕事が増える原因の一つでもあるし。
百歩譲って学校として集めなくてはいけない理由や現状があるなら(思い当たらないけど)、事務職員が一元管理したほうがいいに決まっていませんか?お金を管理することや未払いしている保護者または生徒に督促をかけることが、教師の仕事とは到底思えませんし。
あと意外に落とし穴だと思うのが、パソコンの不適切使用。
あなたの周りでも多くいませんか?
- 仕事以外の事をついでに検索する(ググる)
- webニュースを読む
- 株価や為替の動向をチェックする
など、校務用のパソコンで私的な利用をしちゃう先生。
これらは全て減給か戒告の対象です。
懲戒処分をされても文句が言えない非違行為に該当します。
わいせつ行為による懲戒処分
今でもちょくちょくニュースにありますよね、教師のわいせつ行為。
教師のわいせつ行為に絡むニュースが報道されるたびに


なんていう心ない世間の声も止まないし、それを聞かされる、その他大勢の(圧倒的に大勢の)教師たちからしても、大迷惑ですよね。
もちろん、再発防止の観点や被害者・関係者らの心情を推し量れば、適切な報道はあってしかるべきなんですけど…。
何れにせよ、わいせつ関係やセクハラ関係による懲戒処分については、同様の非違行為だとしてもそこまでに至った事情や状況などで大きく処分内容が異なってきます。
よってわいせつ行為に関する懲戒処分は、戒告から免職まで幅広くあります。
校務内外の非行や監督責任による懲戒処分
酔った勢いで傷害事件を起こしたとか飲酒運転をしてしまったとか。
教師の仕事と関係無いところでも、犯罪行為を行えば免職(が多い)です。
個人的に判断が難しいと感じるのは
- 体罰の問題
- 持ち帰らないと終わらない作業量であるために、データの持ち出した(またはそれによる紛失)問題
これらだと思います。
体罰の場合は暴力行為であることが多いので、傷害等が絡めば行き過ぎた指導として非違行為と見られても仕方が無いとは思います。
しかし同情してしまうのは、データの持ち出しに関わるような内容です。
世間的には(矢面に立たされる教育委員会としては)、データの持ち出しも非違行為と見なすことが多くなりました。

とあなたが必死に訴えても、通用しないってことですね。
教師に課せられた仕事の量が明らかに多すぎて
- テストの採点が終わらない
- 明日までに成績をつけないといけない
- 膨大な量の指導要録を書かないといけない
- 年度当初の時間割を編成しなくてはならない
などという事情があって(残業代も出ないのに)勤務時間外に作業をするためデータ等を持ち出し、自宅で仕事をする予定をしていた。その書類やデータを無くした(盗まれた)。
これも(事情等は一応考慮されるようですが)データを持ち出した教師のみが、懲戒処分の対象である非違行為をしたと判断されます。
本音を言うと、管理職にこそ厳しい処罰が必要だと思ってしまいます。
仮に、あなたが職場に残って(残業して)いたとしても、データ等を持ち出して自宅で仕事をする予定でも、管理職(監督者)が


って言い逃れしたら、それで管理職はおとがめなしです。
ちなみに管理職に対してだと、非違行為による懲戒処分はほとんどありませんが、監督責任はあるので
- 部下(教職員)が、懲戒処分を受ける場合
- 部下(教職員)の非違行為を、隠蔽・黙認していた場合
これらの場合は、当然管理職に対しても懲戒処分がなされます。
どれだけ厳しくても減給止まりでしょうか。
監督下にある職員が問題行動を起こして、管理職が停職したなんて話は聞いたことがありません。
一応、人事院の指針には(隠蔽・黙認していたら)停職又は減給、とあるんですけどね。
懲戒処分を受けたらどうなるの?
もしもあなたが懲戒処分を受けたらどうなるのか?
肝心なところですよね。
動画でもまとめてみました。
もちろん免職であれば職を失いますし、停職であれば給与は入ってきません。
また免職を受けた場合(懲戒免職処分)、教育職員免許法第10条によって、持っている教員免許が失効してしまいます。
いずれにしても、人生設計が大きく変わってきますね。
教師からの転職にはこちらの記事が参考になると思うので、ぜひ参考にしてください。
中でも大きいと感じるのが、退職金。
免職であれば、退職金は1円もありません。
たとえ
- 勤続年数35年
- 59歳
の立場だったとしても、(例えば免職確定の飲酒運転で逮捕されると)1円も退職金はもらえません。
一方(自主)都合退職の場合は
- 減給や停職があれば、それらの期間の減額分を計算される
- 支払われるべき退職金から、減額分を差し引かれる
そうして残った分が、退職金として支払われます。
あっ、そうそう。
気をつけたいことがあります。
懲戒処分を受けたことがきっかけで、転職・再就職する場合。
新しい事業所に提出する履歴書等に賞罰等の欄があれば、懲戒処分を受けた事実を記載しなければなりません。
懲戒処分の事実を記載せずあとで雇い主にその事実がバレれば、雇い主はあなたを重大な虚偽報告があったとして解雇することができます。
私の(懲戒処分をきっかけに転職した)知り合いは

というところまで、意識を変えたそうですよ。
人生の再スタートとして、前向きに考えましょう。
過去は過去、反省すべきところは反省をして前を向いて進んでいく。
懲戒処分とは? まとめ
懲戒処分とは、教育委員会が非違行為を行った教師に対して、制裁の意味合いで行う処分のことです。
普通に仕事をしていたり生活をしていれば縁遠いと思いますが、体罰や文章等の紛失など、ちょっとした気の緩みがのちの人生を大きく変えてしまう出来事となってしまうかもしれません。
今までなんとなく過ごしてきたのであれば、これを機会にもう少しだけ慎重に行動してみた方がいいかもしれませんね。