教師であれば、もちろんこの言葉はご存知ですね?
合わせて、信用失墜行為の禁止というのも聞いたことがあるかもしれません。
でも


なんて思っていませんか?
本日は、職務専念義務と信用失墜行為について正しく知っていこうと思います。
動画でわかりやすく解説もしていますので、併せてご覧ください。
目次
職務専念義務とは?
職務専念義務とは、職務に専念する義務があること。
教師などが遵守する地方公務員法に、その条項が載っています。
(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。引用 地方公務員法
改めて言われると、なんだか嫌ですよね。
簡単に言えば、職務専念義務とは勤務時間中には仕事以外のことはしちゃダメだよ、ってことです。
当たり前っちゃ当たり前ですし、民間企業でも似たような社則や契約事項はあると思いますが、教師のそれは縛りがきついように感じています。
なぜなら、もう一つの条項信用失墜行為の禁止に関わってくるからです。
信用失墜行為の禁止
職務専念義務とは別にもう一つ、職務専念義務とよくセットで言われている条項があります。
(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。引用 地方公務員法
詳しくは「懲戒処分」の記事で話していますが、職務専念義務違反や信用失墜行為の判断基準、いわばものさしとも言うべき基準は明確には決まっていません。
あくまでも社会通念上(一般的にみて正しいと思われている考えや行動)で判断されているとは思いますが、信用をどの程度失墜させたのかの判断や基準は曖昧です。
極論を言えば、自分は大丈夫だと思っていても教育委員会が


と言えば、懲戒処分を含めて当該する教師に懲罰を与えることができるってことです。
職務専念義務にしろ、信用失墜行為にしろ。
その基準は(あなたと教育委員会または管理職、いずれにとっても)主観で判断されやすい基準になっています。
よって、たとえあなたが
- 職務に専念している(つもり)
- 業務に支障が全く無い
このように思っていても、職務専念義務違反で懲戒処分を受けることはあります。
2016年1月には、意外な内容で懲戒処分を受けた例も
少し昔の話なのでご存知の方は少ないかもしれませんが、2016年1月に佐賀の消防署職員が無許可で賃貸料収入を得ていたとして懲戒処分を受けています。
佐賀広域消防局は19日、マンションや駐車場などの賃貸収入で年間約7千万円を得ていた北部消防署警防1課富士出張所の男性消防副士長(43)に対し、兼業を禁止する地方公務員法に違反したとして減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にした。
同消防局によると、消防副士長は自己名義でマンション4棟、駐車場3カ所など15物件を佐賀市内や福岡、熊本県内などに所有、賃貸収入を得ていた。2014年の年収が約7千万円で、確定申告もしていた。昨年10月、住民からの通報を受けて発覚した。副士長は「2005年ごろから父の家業(不動産業)の手伝いで不動産の購入や賃貸をしていた」と話しているという。引用 佐賀新聞記事 2016年01月20日 09時50分
教師と同じく地方公務員法を遵守する立場の消防士ですが、この方は副業の家賃収入を合わせて年収7,000万円。
消防士の年収から考えると、6,300万円以上は家賃収入で得ていたのでしょう。
これが明るみに出て、懲戒処分を受けました。
金額が非常に大きかったことも影響しているでしょうし、無許可でというのも大きな問題です。
しかしどうやらこの件に関して最大の問題点は、その消防署職員が父親が経営する不動産業を手伝っていた、と言うところが副業規定違反に引っかかったという見方が大きいようです。
自営に該当すると判断された(営利目的によると判断された)=職務専念義務違反ということでしょう。
家賃収入を得ること自体は、公務員でも(教師だとしても)全く問題がありません。
しかし、それが
- 営利目的だったり(営利目的と見なされたり)
- 無許可だったり
すると、職務専念義務違反や信用失墜行為に繋がるということですね。

この消防士の方の場合
- 住民からの通報を受けて
- 額が大きいこと
- 副士長という立場
- 無許可だった
があったので、より厳しく判断したのでしょう。
真相は定かじゃありませんから深掘りはできませんが、
- 信用を損なった
- 不名誉なことをした
という曖昧な基準で判断できてしまう以上、 気をつけたいところです。
あなたは大丈夫? 職務専念義務違反にならないために
ついつい信用失墜行為や職務専念義務などに萎縮してしまい
- 常に世間様の目を気にしなくてはならない
- 24時間びくびくしていなくてはならない
- 奴隷的な仕事の仕方をしなくてはならない
このような考えに陥りやすくなってしまいます。
反対に。
無自覚で職務専念義務に違反していたり、信用失墜行為に該当する可能性もあります。
これより職務専念義務等に違反していないかどうかチェックしてみてください。
繰り返しますが、職務専念義務や信用失墜行為は主観によるところも大きいです。
管理職や教育委員会、ひいてはあなたの自治体によって差異がある(判断を下す人の裁量による)ことも、頭の隅っこにでもおいておいてくださいね。
副収入を得ることは、セーフ
財テクを活かして副収入を得たり講演会などによる謝礼をもらったりすること自体は、職務専念義務や信用失墜行為には違反しません。
ポイントは
- 主に勤務時間外での活動による収入である、または自分が直接業務時間中に動かなくても得られる収入である
- 営利目的じゃない(自営じゃない、相続によって譲り受けたもの、または年間500万円以下の)収入である
- 任命権者(地方自治体の長または教育委員会)の許可がある
これらを満たせば、教師だって副収入を得てもいいんです。
ただし副収入分の税金をきちん納めていないなど違法行為があると、もちろんアウトです。
だいたいバレるのは税金関係(を管理している事務職の方)でバレますからね。気をつけましょう。
民間では副業への規制緩和が広がっています。
教師でOKと聞いたことは無いですが、奈良県生駒市のように、自治体の職員でも副業も認めている自治体もあります。
時代とともに、教師も副業をする時代がくるかもしれませんね。
休憩時間だとしても、ネットの閲覧や飲み会の案内を作ることはアウトの可能性が高い
これは結構やっちゃう教師が多いと思うのですが
- 休憩時間や勤務時間外に、校務用のパソコンでネット閲覧
- 学期ごとの懇親会や歓送迎会のチラシを作成(プリントアウト)
これらは、アウトになる可能性が非常に高いです。


その意見はごもっともなんですが、
- 校務用のパソコンやプリンター・用紙等の資材を、私的に利用するとアウト
- 業務に関わるものだとしても、教育活動に必要のない内容だとアウト
こんな事態になりかねません。
アウトかセーフかの判断は、管理職の裁量によるところが大きいです。
よって上記のようなことをやっていても、問題にならないことが多いと思います。
しかしアウトを基本に許可(または黙認)していますので、さらに上のものがアウトと言えば簡単にひっくり返ります。
また、校務用のパソコンは教育委員会のサーバーと繋がっていることがほとんどですので、ログが残ります。
何かあってからでは誰も守ってくれませんから、気をつけましょう。
日中の外出は、グレーゾーン
教師の業務のほとんどは学校内での仕事ですが、校外に出ることもあると思います。
ここで言う外出とは、出張や家庭訪問など出張届けを出すような外出ではありません。
結論をいうと(出張などと同じく)全て管理職の許可がないと外出できません。

全てに許可が必要です、しかも事前に。
許可があればセーフですが、無ければアウト。
「ちょっとそこまで行ってきます…。」が許されない職場だと思うくらいが、ちょうどいいでしょう。
民間企業の休憩時間は(ほとんどの会社で)一切の業務から解放され、外出しようが寝ていようが全く問題ありません。
しかし教師は、許されないことが多いです。
まぁそもそも休憩時間もロクにないようなもんですよね?
生徒の休み時間は個別対応の時間になるし、給食指導があればそもそも教師に昼休みはないですし。
過剰に反応しすぎていると思いますが、世間の目を気にする管理職は多いです。
もしあなたが事前の許可なしに外出しようものなら
- 誤解を与えてしまって申し訳ありません。
- 私は許可をしていません。
と言われるでしょう。
間違っても「休憩時間です。」「校務です。」と代わりに言ってくれることはありません。
百歩譲って、「休憩時間と言うのもわかるが、配慮するように。」など苦言を呈されるハズです。
参考:教師の退職金について
事前の許可さえあれば問題ないので、管理職とは仲良くしておきましょう。
それでも毎日毎日外出すると(法律上は全く問題ないハズなのに)管理職はいい顔をしませんので、気をつけてください。
職務専念義務について、まとめ
職務専念義務は、信用失墜行為の禁止とセットで考えられることが多いですが、何れにしても公務員が遵守すべき地方公務員法で定められたものです。
必要以上にかしこまったり萎縮したりする必要はありませんが、知らず知らずのうちに違反行為をしていることもあります。
- 副収入は得ても良いが、許可が必要
- 副収入の額が自営とみなされるくらいの額だと、兼業禁止に抵触する可能性がある
- いかなる理由でも、勤務時間中(校務中)に私的な行動を取ると職務専念義務違反となる可能性がある
- 休憩時間中も行動に制限がある
- 全ては管理職や教育委員会のさじ加減、自分で甘い判断は避けたほうが良い
私は、こんな閉塞的で自由度の低い働き方に嫌気がさしたので、転職を決めました。
離れて見てわかりましたが、教師の働き方は異常ですよ。
参考:【ダメな例】教師からの転職で失敗する人のパターン5選について
冷静にシンプルに考えてみれば、職務専念義務は非常にわかりやすいです。
校務や職場に関わることであっても、勝手に動くな!
ってことですから。
皆さんも気をつけてくださいね。