この記事では、教師の退職金はいくらもらえるのか?その算出方法や税金の有無について、高校教師歴10年以上の松梅タケが解説していきます。
動画ならわかりやすく要点をまとめています。
目次
実際にもらえる教員の退職金は?(実際の退職手当計算書あり)
退職金は、早期か定年かに因って大きく変わるし、採用年数によっても大きく違います。
とりあえず論より証拠、私の場合がこちらです。
実に、983,698円。
- 地方都市
- 30代
- 高校教諭(全日制普通科)
- 扶養あり
- 教諭年数7年
- 前歴加算は特に無し
このような属性の私で、約100万円の退職金が貰えます。
教員の退職金額を簡単に計算する方法とは?
WEBサイトなどには退職金早見表などが載っていることもありますが、意外と自分の勤務年数がドンピシャで載っていなかったりしてわからないことも多いかもしれません。
教員の退職金を簡単に算出する計算方法があるので、紹介しておきます。教員の退職金(手取り額)はだいたい、
- 勤続年数10年あたりまでなら、退職時の手取り×勤続年数×0.5
- それ以上、勤続年数25年くらいまでの勤務年数であれば、退職時の手取り×勤続年数
この計算式で算出できると言われています。
私の場合、(こちらの記事で示している通り)退職時の手取りは、約27万円でした。
正しい金額については、私みたいに事前に学校の事務職員を通じて試算額の請求を申し込んだ方が良いですが、あくまで目安として知りたい場合はこの程度の計算でも割と近い数字になります。
勤続年数10年を境に調整額(正規の退職金額にくっついてくるオプションみたいな金額)の支給が変わるので、10年未満だと大きく減ってしまいますね。
教師の退職金には、税金がかかるの?

と心配になる人もたくさんいるでしょう。
教師に関わらず、退職金も税金がかかります。
しかしいつもの(給料から引かれている)税金とはちょっと仕組みが違い、退職金をもらう人の負担が減る仕組みがとられています。
実際の細かな計算は国税庁のHPや人事院のHPで確認してほしいですが、この記事を読んでいるであろう
- 勤続年数10年未満の教師
- 10年以上20年未満程度の教師
こんな人たちの退職金の場合。
いわゆる若手で自主都合退職の教師の場合には、実際にもらう退職金額よりも算出された控除金額の方が金額が大きいので、所得税・住民税についてはかからないと考えておけば良いでしょう。
退職金が少ない場合は、退職手当が支給されることも?

勤務年数が少ない場合には、退職金が(思っているよりも)ほとんどでない可能性があります。
常勤講師として働いている場合も同様です。
基本的に常勤講師は、単年度契約の雇用形態なので、年度末に寸志程度の金額がもらえる程度でしょう。
またご存知の方も多いかもしれませんが、教師は失業保険をかけられません。
満足いく額の退職金を受け取れず、また失業保険による給付金も受け取れないとなった場合。
実は「退職手当」というお金や「再就職手当」というお金がもらえるかもしれません。
詳しくは以下の記事にまとめましたので、満足いく退職金が受け取れない見込みの方は、一度お読みいただいたらと思います。
参考:教師の失業保険、意外と知らない失業手当に相当する退職手当や再就職手当とは?
教員の退職金は、10年間で540万円も減額。14年間では600万円以上もの減額に!
さて、これよりは少々愚痴を交えて、私と同じ年代の現職教師に警鐘を鳴らしたいと思います。
平成や昭和の時代なら、定年まで働いて「基本給×勤続年数×1.2〜1.4」ほどもらえていたという、教員の退職金。
退職金でもう一軒家が建つなんて言われていました。それだけ教師や公務員の退職金は手厚く支払われていました。
そんな時代のせいかどうかは知りませんが、バブル経済が弾けた平成18年以降、教師の退職金は10年で540万円も減っていることをご存知でしたか?
この画像は(データが古いですが)平成19年から平成28年までの、都道府県別で教育公務員(教職員関係者等)が、定年退職時に受け取った退職手当を私の方でまとめたものです。
平たく言えば、教員が退職する時にもらった退職金の推移ですね。
ちなみに新しいデータと比較してみても、その減少のスピードは凄まじいことがわかります。
令和3年(2021年)の地方公務員給与の実態によると、定年まで勤めた25年以上の勤続年数の人がもらう教育職の退職金額は平均2266万8,000円。

2007年の「2,870万4,000円」と比べれば、実に教師の退職金はこの14年で約600万円も下がってきたことになります。
バブル崩壊後、震災や世界経済悪化なども影響して、官民格差の是正が進みました。
その結果、月額給与やボーナス(期末・勤勉手当)のカットが行われるようになって、当然、多額のお金が動く「退職金」についても同じようにカットされ続けてきました。
私たちが採用されて間もないころに退職した(またはそれまでに退職した)先生たち、その方々が退職金をもらいすぎだったということは、多いにあります。
昔の人(特に校長)たちは3,000万円近い退職金を手にして、関係機関に再就職という名の天下りをして、さらに余生を悠々自適に過ごしてきた。
少子高齢化社会、日本経済の悪化なども押し寄せた結果、すべてのツケは残された私たちが払っていく。
その結果が、14年間で600万円の退職金が減少という形で表れています。
一度減ったお金が増える可能性は低いでしょう。
このペースでいけば、ほぼ間違いなく
と考えます。
ひょっとすると、定年の引き上げが再度行われて定年が70歳とか75歳までとなれば、もらえる退職金額は500万円を下回ってくるでしょうか。
令和に入ってからでも、25年以上勤めて貰えている退職金は2200万円。金額としてはかなりの大金です。
民間の退職金額と比べれば、相対的に依然として高いのかもしれません。
それでも今一度、しっかり見つめ直しましょう。このまま向こう30年、教師を続けて(ブラック企業のように働いて)、数十万円を取りに行くことが良いのかどうかということを
ちなみに、教師の年金は1割ほど減少した
2015年10月に、公務員の特権であった「共済年金」が厚生年金に一本化されました。
それに伴って、いわゆる3階部分が廃止になったことは知っていますよね?
これにより教師がもらえる年金額は、1割ほど減りました。
しかしこれは単純にデメリットばかりではなく、少子高齢化のあおりを受けて、共済年金が破たんする可能性もあったかもしれないので、何とも言えません。
いずれにしても退職金の削減と併せて、教師なら老後まで安泰という時代は終わったと感じています。
金銭面だけで見た場合。
教師は「定年前までは安定」して暮らしていけるかもしれません。
しかし「定年後まで安定」という訳には、いかなくなってきたのです。
身の振り方や、資産運用、資産形成をきちんと考えないと、本当に痛い目を見ると思っています。
>>【もう迷わない!】これが教師の転職理由だ!実例をもとに一緒に考える
転職や資産運用の開始時期については、タイムリミットがあると思っています。
20年後30年後では間に合わなくなっているかもしれませんので、動けるうちに動いておいたほうが良いと感じています。
教師の退職金について、まとめ
最後の方はちょっと煽るような内容になってしまって申し訳ありません。
本日の内容をまとめます。
- 30代教師がもらえる退職金は、だいたい100万円
- 30代が定年退職する時の退職金は、今より随分と低い可能性
- 老後についても、公務員だからといって安心できない可能性が大きい
退職金は、次の人生の大切な資金源となります。
賢く使っていきたいものですね。