「教師からの転職について」の記事などでも話している通り、教師の転職活動は教師を続けながら行うのが鉄則です。しかし
- 先に教師を辞めてから、転職活動したい(1日も早く辞めたい)
- 懲戒免職や病気等により、すぐに教師を辞めることになった
など、教師の職を離れてから転職(再就職)する場合も、あると思います。
そんなときに思いつくのが、失業保険。


こんな風に、失業保険についてその仕組みをいまいち知らない教師も多いはず。
そこでこの記事では、高校教師歴10年以上の松梅タケが教師からの転職と失業保険について、全て語ります。
教師は失業保険の掛け金をかけていませんので、(当然)教師は失業保険を受け取れません。
そもそも失業保険って給料の6割程度ですから、貰えたとしても今まで通りの生活をするにはちょっと厳しいですよね。
健康面などで問題が無いなら、早いうちに転職(再就職)した方が良いでしょう。
・【職種別】教師からの転職にオススメの職業まとめ
・【タイプ別】教師・教員におすすめの転職サービス・エージェントまとめ
・【今すぐ辞めたい】教師が「退職代行サービス」を利用する注意点とは?
目次
そもそも失業保険(失業手当)とは?
失業保険とは、正式には雇用保険(または失業手当)と呼ばれます。
勤務先を何らかの事情で退職せざるを得なくなった場合に、次の職が見つかるまで国から失業手当としてお金が貰える制度です。
失業手当は、離職中の生活をサポートする目的であったり、失業者が安心して再就職活動を行えるようにバックアップする目的があったりします。条件によっては支給開始までに数ヶ月かかったり、毎月ハローワークに出向いて処理をしなくてはいけなかったり…と、煩雑なことも多いのが失業手当。
しかし、再就職するものにとって失業手当は大変ありがたい制度です。
教師には支給されない、失業保険
失業保険(雇用保険)は、失業するリスクがあるからこそかけるものです。
ところが教師は、失業するリスクがほとんどありません。
公務員として公立学校等に勤務しているなら尚更、失業するリスクは皆無と言えるでしょう。
よって教師は失業保険をかけていませんし、かけられません。
もちろん、給料から雇用保険料が引かれているようなことも、ありません。
掛け金を支払っていない保険が給付されるはずはありませんので、教師は失業保険を受け取れません。よって教師を辞めても(失業中に)、失業手当が貰えることはありません。
失業保険が無い代わりに、退職金は民間よりもしっかり貰える
妬み嫉みとして槍玉に上がることも多いですが、教師の退職金(退職手当)は民間と比べれば潤沢に貰えることが多いです。
たとえ自己都合(正当な理由なく自分のタイミングで辞める場合など)だとしても、勤続6〜7年で100万円近くもらえます。
教師は失業手当が無い代わりに、退職手当で食いつなぐと考えればいいでしょう。
参考:教師の退職金について
勤務年数が少ない教師は、失業者の退職手当を貰える可能性が高い


教師にとってみれば、一長一短のように思える、失業保険(と退職手当の関係)。
でも一番辛いのは、こんな教師です。

というような、比較的勤務年数の浅い若手教師が離職した場合。
- 退職手当(退職金)が少ない(または全く無い)
- 失業保険も貰えない
そうなると、その元教師の方は(ダブルパンチとなり)、非常に苦労して次の職を見つけなくてはなりません。
そんな教師のあなたにお伝えしたいのが、教職員の「失業者の退職手当」です。
失業者の退職手当とは?
教職員の失業者の退職手当とは、平たくいうと
という制度です。
もちろん、失業者の退職手当はあくまでも補填の意味合いですので、退職手当が十分にもらえる場合は失業者の退職手当は受給できません。
また失業者の退職手当は(その名の通り)退職手当の財源から出ているので、支給の窓口は一般的な雇用保険の基本手当と同様にハローワークが窓口になっています。
あくまでも「雇用保険を利用していたら、支払われていたであろう」金額と同等の額を、追加の退職手当として(足らずまいを補填する意味合いで)支給されます。

失業者の退職手当をもらうために必要なこと
失業者の退職手当を支給してもらうための要件としては(各自治体で若干異なりますが)概ね以下の通りです。
- 12ヶ月以上、教師として勤務していた
- 現在、失業状態であること
- 退職手当が、雇用保険法の規定に基づき計算した額(いわゆる失業給付金の額)に満たないもの
こんな状況の教師であれば、失業者の退職手当(すなわち、教員の雇用保険)がもらえる可能性があります。

一般的には、懲戒免職で退職金が一切受け取れなかった(けど再就職したい)人や、教師の勤務年数が3年目くらいまでの人が、該当するかなと思います。
勤務年数 | 7年(自己都合による退職) |
---|---|
月の手取り | 約25万円 |
6ヶ月間の手取り合計 | 約150万円(25万円×6) |
退職金 | 約98万円 |
雇用保険の支給総額(目安) | 497,790円 |
私の場合は十分な退職金(退職手当)をもらっていますので、失業者の退職手当はもらえなかったですね。

退職票の交付申請
失業者の退職手当をもらうためには、退職票が必要です。
都道府県によって違いがありますが(こういうのほんと多いから、統一してほしいよね)、校長名で貰えるところもあれば、自らが教育委員会に行って手続きをしなくてはならない場合があります。
例えば東京都の場合は、所属長名で交付されます。
失業者の退職手当を受けようとする者は、所属長から交付された「退職票」と「証明願」を住 所地を管轄するハローワークに持参し、「証明願」に証明を受けてください。
一方で埼玉県のように、退職したらすぐに教育委員会の教職員課へアポをとり、退職票の交付申請を行う必要のある自治体もあります。
失業者の退職手当の受給を希望する場合は、以下の書類等を持参の上、教職員課までお越しください。退職票の交付申請は、退職後速やかに行ってください。申請が遅れると手当が支給されない場合や定められた手当を受給できない場合があります
窓口が教職員課でなく、福利課となっている場合もあるようです。
1 岡山県職員退職票交付願(※下記参照)を福利課へ提出する。
引用 岡山県 教職員の「失業者の退職手当」について
退職票が取得できれば、あとはハローワークで手続きを行いましょう。
自治体によって必要な書類が違うので、ハローワークの窓口に確認する方が良いです。
失業者の退職手当受給資格がある元教師は、再就職手当ももらえるかもしれない

と考える元教師の方もいらっしゃるかもしれませんが、あまりオススメできません。
早くに再就職先を見つけた方が、生活基盤ができ、暮らしと心に余裕ができます。
また、再就職に伴い失業者の退職手当が満額支給とならなかった場合、これとは別に再就職手当がもらえる可能性があります。
再就職手当は、雇用保険でもらえるはずだった(残りの)額の60〜70%をまとめてもらえる制度です。
以下の要件を全て満たすと、教師でも再就職手当が受給できます。
不正受給をさせないために細かく要件が決められていますが、要件を全て満たすなら再就職手当は必ずもらえるので、ハローワークへ相談しに行きましょう。
- 受給手続き後、7日間の待機期間満了後に就職、または事業を開始したこと。
- 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当(失業者の退職手当の日額)の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
- 離職した前の事業所(学校)に再び就職したものでないこと。また離職した前の事業所と人事等で密接な関わりがない事業所に就職したこと。
- 受給制限がある場合(自己都合退職で、3か月間の受給制限がある場合)において最初の1ヶ月間で再就職する場合は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したこと。
- 1年を超えて勤務することが確実であること。
- 雇用保険の被保険者(雇用保険の掛け金をかける立場)になっていること。
- 過去3年以内の就職について、再就職手当を受給していないこと。
- 受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
再就職手当の支給日は、就職した日から1〜2ヶ月後なので(すぐにもらえる訳じゃないので)、新生活のための資金等に充てようと思っているなら、注意が必要です。
先に教師を辞めて再就職だとしても、転職のプロを頼った方が良い
お金に疎いし失業も縁遠い職業だから、詳しくわからないという教師は多いです。
そんな時に頼りになるのは、やはりプロの存在。
転職エージェントのキャリアアドバイザーは、転職先の紹介のみならず、退職についてもスムーにできるよう色々と教えてくれます。
もらえるはずだったお金が(自分が無知という理由だけで)貰えないのは、納得がいきませんからね。
無料で頼れるプロに相談して、賢くいきていきましょう。